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MIKIネジ制作の記録 -1


MIKIネジ制作の記録

いよいよ商品化が目前に迫ってきているということで、
これまでの経緯を一度まとめておきたいと思います。

MIKIネジとは、
 →宮崎県にある管楽器修理工房 MIKI楽器代表三木さんが制作する
  サックスリガチャー用のネジです。

❏ はじまり
2016年秋頃、それまでに【サックスネック・マウスピース・リガチャー】の
メッキ加工を依頼していた林が、リガチャーネジのメッキ加工もお願いしたところが
きっかけでした。
真鍮素材のネジ、銀メッキ加工済みのネジを、プラチナ加工した変化を
Blog記事にした後、MIKI楽器代表の三木さんが独自の着想でネジ制作を開始したのです。

❏ アイディア着想から第一弾試作へ
マウスピースリフェイスも行っていた三木さんは、リガチャーネジも
左右対称である方が、響き・振動をよりよく伝えることができるのではないか?と
仮説を立てました。
そして、できあがったのが、『写真1a-1b』の第一弾試作ネジです。特許出願済み。

 写真1-a 写真1-b

通常のネジ『写真2』は、右手側が平たく加工されていて
締めやすい持ち手になっています。

 写真2


左右非対称であることが、今までの”当たり前”でした。
そこを切り込んだのが、MIKIネジです。
事前に、リガチャーの中央部分『写真3』の採寸を行い、それに合わせて
制作されました。

 写真3

これにより、左右均等にリガチャーがリードを支えることできるようになり、
響きが抜群に向上しました。

この第一弾試作は、真鍮製【写真1-b】と、
銀無垢(sterling silver 925パーミル)【写真1-a】で制作されました。

真鍮製は、非常に少ない息の量で鳴らしやすく、
Selmer製マウスピースの☆1(ワンスター)のような印象です。
クラシカルな音楽、または楽器入門者にうってつけのセッティングである一方、
中級者以上には、音量のピークへすぐに到達するため、物足りなさもあります。

銀無垢製は、抵抗感が増し、音量も増大します。
その一方で、PP(ピアニッシモ)のコントロールもしやすく、
ダイナミクスコントロールがしやすいモデルです。

第一弾試作から、すでに完璧かと思われるMIKIネジですが、デメリットもありました。


❏ デメリット、そして改良へ
『写真2』のような通常のネジ構造を採用しない反面、セッティングが難しくなりました。
ネジ本体が細いため、力がかかりにくく、どの程度リードを締め付けられているのか、
締め加減の感触が分かりにくいのです。
また、両端がツルツルとしていて、滑りやすいのも影響していました。

もう一つ。
正締めリガチャーでのみ、MIKIネジ効果を実感できるということです。
ここ十数年前、サックスやクラリネットのリガチャーは、
マウスピース上面でネジを締める、通称:逆締めリガチャーが主流になりました。
正締めのリガチャーを探すほうが、今は難しいのです。
YAMAHA,Yanagisawa, ボナードぐらいでしょうか。
私は、メタル製マウスピースに石森製AMIMEリガチャーを使用しています。
もしもお手元に、旧式のセルマーリガチャーをお持ちの方は、
大切に残しておくことをお薦めします。

このような、試奏と、試行錯誤を繰り返し、同時にメッキ加工にも着手したのが
第二弾試作、2016年12月のことです。


❏ 第二弾試作とメッキ加工
たかがネジ、されどネジ。
ことの発端でも触れたとおり、メッキ加工で大きく響きが変わったのが
全ての始まりでした。
いくつかの改良点も見えて第一弾試作を経て、これらをメッキ加工をすると
どうなるのか? 
それがテーマでした。

同時にネジ右手部分にローレット加工を施し、装着時に滑りにくくする工夫を三木さんはしました。
ところが、何度も付け外しをしてチェックをしていた時に
気づいたのですが、両手を使って締め付けるのが私のやり方として
定着していました。
しかも、利き手ではない、左手が最後の仕上げなのです。
次回製作時には、手間も工程も増えることを承知で、
ネジの両側にローレット加工を施してほしいと要望したのも、この頃です。

メッキの効果は確かにありました。
MIKIネジにプラチナ加工したものは、若干抵抗感が増した程度で
響きは第一弾試作よりも増したのです。
しかし、ネジの刻みが、私のリガチャーと相性が悪く、
リードミス音を多発。
また、少しの衝撃でリードからずれてしまい、しっかりと固定ができないため、
試奏段階で終わり、実際の演奏で使用するには至りませんでした。
これもまた、ネジの【雄ねじと雌ねじ】の噛み合わせ精度について考えさせられる
よい試作になった工程です。

❏ 第三弾MIKIネジ
2017年1月初頭
さらに改良を重ねた、工芸品としても美しいネジが、今まさに手元に届きました。
これが、凄いのです。

続きます・・・

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